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著作権の自由利用

 他人の著作物を利用したいときは、その著作権者の許諾を得なければならないのが原則です。しかし、逐一許諾を取っていたのでは著作物の円滑な利用に支障をきたし、かえって著作権法の最終目的である文化の発展の妨げになってしまうことが考えられます。そこで著作権法は、一定の場合には著作権者の許諾なしに著作物を利用できる場合を定めています。
 その中でも重要なものを取り上げて説明します。

・私的使用のための複製(法30条)
 個人的または家庭内等で使用する目的の場合は、許諾なしに複製することができます。ただし、コピープロテクトを解除して複製することは、私的使用目的であっても許されません(法30条1項2号)。

・付随対象著作物の利用(法30条の2)
 撮影されたものの中に他者の著作物が写り込んでしまった場合、その写り込みが「軽微」で「正当な範囲内」のものであれば、その著作物の著作権者の許諾は不要です。ただし、著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りではありません。

・引用(法32条)
 公表されている他人の著作物を「引用」して利用する場合、以下の要件を満たしていれば、その著作物の著作権者の許諾は不要です。
 1 明瞭区別性 ・・・ 引用部分が明瞭に区別されていること
 2 主従関係  ・・・ 引用部分が付従部分であること
 3 報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内であること
 4 出所の明示
 5 公正な慣行に合致すること

・営利を目的としない上演等(法38条1項)
 公表された著作物は、以下の要件を満たしていれば、その著作物の著作権者の許諾なしに、公に上演、演奏、上映または口述(以下、「上演等」といいます。)することができます。
 1 営利を目的としないこと
 2 聴衆または観衆から料金を受けないこと
 3 当該上演等について、実演家または口述を行う者に対して報酬が支払われないこと

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