
「著作者」と「著作者の権利」
著作者とは、著作物の作者です(法2条1項2号)。原則としては個人ですが、職務著作(法15条)や映画の著作物(法16条)については例外で、法人が著作者になり得ます。
重要なのは、著作権はまず著作者に生じる(法17条1項)ということです。例えば、あるデザイナーに製作費を払って絵画の製作を依頼したとしても、完成した絵の著作権は、まずその著作者であるデザイナーに生じます。ですから、依頼者は、この絵の著作権も欲しいのであれば、絵の「製作委託契約」とは別に、「著作権譲渡契約」の締結も必要になることに注意しなければなりません。
著作者には「著作権」が生じますが、その内容は、以下のような権利に分けて考えることができます。特に、狭い意味の著作権(財産権)の中身である複製権以下の各権利は、著作権の「支分権」という呼び方をされます。
著作者の権利 | 著作者人格権 | 公表権 |
氏名表示権 | ||
同一性保持権 | ||
著作権 (財産権) | 複製権 | |
上演権・演奏権 | ||
上映権 | ||
公衆送信権 | ||
公の伝達権 | ||
口述権 | ||
展示権 | ||
譲渡権 | ||
貸与権 | ||
頒布権 | ||
翻訳・翻案権 | ||
二次的著作物の利用に関する原著作者の権利 |
これらの権利の詳しい中身は、以下のとおりです。著作者(または著作権者)は、以下に挙げたようなことを、他人に無断でされない権利を有します。
著作者人格権 | 著作者の人格的な利益に対する権利の総称です。具体的には、公表権、氏名表示権、同一性保持権などがあります。重要なのは、これらの著作者人格権は、著作者の作品に対する、その人固有の感情を保護するためのものなので、他人に譲渡できない、という点です。つまり、著作者が、たとえその著作権を他人に譲渡したとしても、著作者人格権は著作者のもとに残ります。 |
・公表権 | まだ公表されていない著作物を公表する権利です。著作者は、いつ、どのように公表するかを決める権利を有しています。 |
・氏名表示権 | 著作物を発表する際、著作者の名前を表示するかしないか、表示するとして、それを実名とするか変名(ペンネームなど)とするか、を決める権利です。 |
・同一性保持権 | 著作者の意に反して、著作物及びその題号の変更、切除その他の改変をされない権利です。 |
著作権(財産権) | 著作権者の財産的利益に関する以下のような権利(支分権)の総称です。 |
・複製権 | 著作物を印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製する権利。 |
・上演・演奏権 | 著作物を公に上演又は演奏する権利。 |
・上映権 | 著作物を公に上映する権利。 |
・公衆送信権 | 著作物を公衆送信する権利。 |
・公の伝達権 | 公衆送信される伝達物を受信装置を用いて公に伝達する権利。 |
・口述権 | 言語の著作物を朗読その他の方法により伝達する権利。 |
・展示権 | 美術の著作物または未発行の写真の著作物を、原作品により公に展示する権利。 |
・頒布権 | 映画の著作物をその複製物により頒布(有償であるか又は無償であるかを問わず、複製物を公衆に譲渡し、又は貸与すること(公衆に提示することを目的として映画の著作物の複製物を譲渡し、又は貸与することを含む。)。)する権利。 |
・譲渡権 | 著作物(映画の著作物を除く)の原作品又はその複製物を公衆に譲渡する権利。 |
・貸与権 | 著作物(映画の著作物を除く)の複製を公衆に貸与する権利。 |
・翻訳・翻案権 | 著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利。 |