
著作権と「無方式主義」
著作権は、創作されたときに成立します。他に、いかなる手続や申請も必要ではありません。これを「無方式主義」といいます。
わが国の著作権法は、ベルヌ条約のもとに、「著作者人格権および著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。」(法17条2項)と規定しています。
著作権の登録制度
著作権の成立に何らの手続も必要ないというのは便利ではありますが、その反面、不都合な点もあります。例えば、自分の作品と酷似した作品が現れた時に、それが自分の作品を模倣したものであることを証明して、著作権侵害だと訴えるためには、自分の作品がその模倣作品よりも前に作られていることが前提となりますが、これを確かめるのが往々にして困難な場合がある、という点です。そこで、著作権法は、「著作権の登録制度」というものを定めています。
つまり、著作権は登録などしなくても成立するのですが、上記のようなトラブルなどを防ぐ手段として、登録することもできる、とされているのです。例えば、著作者は、その著作物の第一発行年月日または第一公表年月日を登録することができます。これによって、その著作物については、登録した年月日に最初の発行または公表があったということが推定されます。
このほかにも、著作権を譲り受けた者は、その移転について登録をすることができます。これによって、「その著作権を譲り受けたのは自分だ」と主張してくる第三者に対して、「登録している自分こそが著作権を譲り受けた者だ」と反論することができます。
さらに、実名を伏せて著作物を発表した著作者は、その著作物の作者であることを証明できるように、実名を登録しておくこともできます。