
著作権の「侵害」
著作権者または実演家等は、自分の著作物や実演等が無断で複製(コピー)や販売をされたり、インターネット送信されたりして、著作権・著作隣接権(以下、省略して「著作権」といいます。)が侵害された場合に、対抗措置をとることができます。
この対抗措置には、刑事上のものと、民事上のものがあります。
刑事上においては著作権侵害は犯罪となりますし、民事上は損害賠償などを請求することになります。以下に、具体的な対抗措置について解説します。
民事上の請求
[損害賠償請求]
著作権侵害をされて被害が発生した場合で、故意・過失が相手方にある場合には、損害賠償請求をすることができます(民法709条)。侵害を受けた権利者は、損害額を自分で立証しなければなりませんが、立証の負担を軽減するための規定が、法114条に設けられています。
[差止請求]
著作権侵害を受けている場合、侵害者に対して、侵害行為の差止を求めることができます。また、侵害のおそれがある場合も、侵害をしないような予防措置をとるよう、相手に求めることができます。
[不当利得返還請求]
著作権侵害によって、侵害者に利益が発生した場合、その利益の返還を請求することができます(民法703条、704条)。この時、侵害者が、自分が他人の権利を侵害していることを認識していなかった場合には、相手のもとに現存している利益の限度でしか返還請求できません。
[名誉回復等]
著作者や実演家は、著作権侵害に対して、自己の著作者等としての名誉や名声を回復するための措置を行うことを請求することができます。具体的には、謝罪文などを公表してもらったりすることです。
刑事上の罰則
著作権侵害に対する罪は基本的に親告罪、つまり、権利者が告訴を行うことが必要な犯罪です。一部、例外もありますが、割愛いたします。
著作権・出版権・著作隣接権の侵害は、「10年以下の懲役」もしくは「1000万円以下の罰金」またはこれらの併科となります(法119条1項)。
著作権侵害とみなされる行為
次にあげるような行為は、直接的な著作権侵害行為ではありませんが、著作権侵害とみなされます。実質的に著作権を侵害しているのと同等の行為と考えられるからです。主なものは以下のとおりです。
1 外国で作成された海賊版を国内で販売・配布する目的で輸入すること
(法113条1項1号)
2 海賊版を、海賊版と知っていて、
頒布すること
頒布する目的で所持すること
頒布する旨を申し出ること
業として輸出すること
業として輸出する目的で所持すること
(法113条1項2号)